デジタル・プロトタイプの活用で売上を500%増加

Red Ant Agri Engineering | 南アフリカ

デジタル・プロトタイプの活用で売上を500%増加

課題

  • 複雑化する農業機械の設計と構築
  • 大規模アセンブリで部品の適合性と機能をチェック
  • 開発工期の短縮と手戻りの削減
  • 顧客、プロバイダー、契約メーカーとの連携

成功の鍵

  • デジタル・プロトタイプをイノベーションに活用
  • 新製品の設計を加速させ、コストを削減
  • 整備/保守マニュアルの作成プロセスを改善
  • 実物さながらのレンダリングで顧客を獲得

成果

  • 500%の売上増
  • 新製品リリース成功率が300%向上
  • サプライチェーン圧力にもかかわらず、板金部品を10%節約
  • 新しい農業機械を従来と比べて2-3倍速く開発

Red Ant Agri Engineering

Red Ant Agri Engineeringは50年以上の長きにわたり、画期的な農業ソリューションと農業機械を提供してきました。果樹園や農園向けの最先端ソリューションを顧客に提供することに尽力しており、最新の農業手法に対する深い理解の面でも抜きん出ています。
https://www.redantagri.co.za/

「Solid Edgeは中小企業が大きなことを成し遂げるためのツールです。当社のこの8年の成長はRed Ant製品ラインの開発による部分が大きいですが、Solid Edgeなしでは不可能だったでしょう。」
James Reid氏
Red Ant Agri Engineeringオーナー

Solid Edgeでコスト削減、さらなるイノベーション、迅速な開発を実現したRed Ant Agri Engineering

「Solid Edgeのおかげで製品設計・製造の世界が一変しました。」
James Reid氏
Red Ant Agri Engineeringオーナー

ソリューションを提供

Red Ant Agri Engineeringの農業機械は、林檎の果樹園から柑橘林、ワイン用の葡萄園、ピーカン農園まで、南アフリカ全土で広く使用されています。というのも、Reid & Verweyの1部門であるRed Ant Agri Engineeringはこの10年あまりの期間をかけて、非常に複雑なニッチ分野の農業機器を開発し、顧客のニーズに応じてカスタマイズしてきたからです。オーナーでもあるJames Reid氏はこう述べています。「Red Ant Agri Engineeringのビジネスはソリューションありきです。われわれは農業用機械を作っていますが、だからといって機械メーカーだとは思っていません。顧客にソリューションを提供することに誇りを持っています。」

複雑化の進む機械

特殊ニーズに対応するRed Ant Agri製品は、ニッチ農作業の自動化を支援する機器であり、小規模から中規模の生産ラインで製造されます。複雑化した農業機械の設計・開発ニーズに直面していた同社は、急速な成長の実現にあたり、Solid Edge®の導入に踏み切りました。Solid Edgeは、シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアが提供しているソフトウェアとサービスの包括的な統合ポートフォリオXcelerator™のひとつです。<144/><145/>Reid氏は次のように語ります。「Solid Edgeのおかげで製品設計・製造の世界が一変しましたこれまではシンプルな製品を開発してきました。また、利用できる材料や製造技術にも限りがありました。多くが簡単に模造できてしまう製品だったため、私たちが苦労して生み出した機械も、顧客が材料を調達して組み立ててしまうこともめずらしくありませんでした。」<146/>今日、Red Ant AgriはSolid Edgeの3D設計機能とシートメタル機能を使って、機能性とコスト効率性に優れた農業機械を設計しています。「Solid Edgeを導入したことで、当社は一地方の修理工場からの脱却を果たし、高品質の農業機械メーカーとして認められるようになりました。適切に設計および組み立てられ、意図したとおりに動作する機器であれば、お客様に喜んで購入してもらえます。」とReid氏は語ります。<147/><148/>1つの製品に500超の部品が含まれることもあります。このため、部品をモデル化し、その部品の機械に対する適合性と機能性をチェックできれば、開発工期の短縮とコスト削減につながります。<149/>Solid Edgeには板金設計機能が含まれており、設計案の製造性を向上させるとともに、製造現場のせん断工具や曲げ加工機と簡単に統合できます。同社はまた、設計段階の顧客との意思疎通のほか、サブシステムのプロバイダーや契約メーカーとの連携にもSolid Edgeの3Dレンダリング/モデル機能を活用しています。

 

新製品導入の成功率を向上

Red Ant Agriの顧客企業の多くは、まったく新しいソリューションあるいは完全にカスタマイズされたソリューションを求めています。つまり、顧客の要求を絞り込み、製品化の見込めるプロジェクトにすべての設計能力を注ぐ必要があります。Solid Edgeを導入したRed Ant Agriは、デジタルモデルを使って顧客とコラボレーションしています。新しいソリューションを開発したら、実際に板金の切り出しにかかる前に、デジタルプロトタイプで微調整を行います。これにより、新製品リリース成功率が300%増加しました。Reid氏は次のように述べます。「以前は4つのプロジェクトのうちの1つが製品化にこぎつければ満足していました。現在は、新製品の75%で商業的な成功を見込んでいます。」

「明らかに製品の機能が向上したことに加え、このソフトウェアを使って製品を美しく仕上げられるようになりました。設計比率を微調整したり、外観を整えたりといった作業がモデリング環境にいながらにして可能です。その結果、最終製品の売上が10倍になりました。Solid Edgeの導入以前は、型式あたり10台から20台販売できれば良しとしていました。それが今や、市場展開している製品のうち、2種類が300台以上の売上を達成し、3つ目の製品がそれに続く勢いです。」Reid氏はこう説明します。

売上が増加しただけでなく、新しい設計プロセスによって顧客満足とアフターサービスも向上しました。現在は製図とレンダリングの機能を使って、詳細な整備・保守マニュアルを作成しています。3Dモデルと3D図面のおかげで、予備部品の提供がしやすくなったほか、新製品の改善点を旧型モデルに改良点として含めることもできます。

 

デジタルプロトタイプを使って、初回から成功する設計

小規模企業であるRed Ant Agriは、設計コストをできるだけ抑えるため、初回から設計を成功させる必要があります。 同社にとって設計変更の容易性と開発コストの削減が非常に重要です。機械が複雑化、大型化すると、物理試作で1つ1つの問題に対処するのは不可能です。Reid氏は次のように述べています。「初回から正しく機能する製品を作らなければなりません。時間とコストのかかる試作を行わずに設計から製造に移行するうえでSolid Edgeは大きな助けになっています。」Red Ant Agriでは現在、最終的に廃棄されてしまう試作機を作成していません。その代わり、デジタルプロトタイプを使って適合度、製造性、組立手順をチェックします。また、必要な部品すべてが発注済みあるいは製造済みであることを確認してから、製造と組立作業に進んでいます。Reid氏は続けます。「新製品を設計する速度とコストが飛躍的に向上しています。製品はどれも1つ1つ違いますが、Solid Edgeを使用することで、ソリューションをこれまでの2倍以上の速さで提供できるようになりました。」

同社はまた、新規顧客に製品コンセプトを視覚的に紹介したり、組み立て開始前に受注したりする目的でもデジタルプロトタイプを活用しています。Reid氏はこう述べています。「農業関係の方は、自身の目で見てから購入することを好みます。実物さながらの3Dモデルとレンダリングの価値は計り知れません。」

Reid氏は、ハイクリアランス蓄圧式噴霧器の初期のレンダリングイメージを見た顧客が組み立て工程を見学するためにオフィスを訪れたときのことを語ってくれました。この顧客は、目にした画像がCGであったこと、実際の機械を目にするまでには数週間待たなければならないことを知って驚きました。Red Ant Agriにとって、完成品のビジュアル化機能は受注を確実にするだけでなく、簡単、短時間、低コストで変更可能な開発初期段階の変更や調整を可能にします。

サプライチェーンの課題克服とコストの削減

最近のサプライチェーンの問題は、Red Ant Agriの価格と材料調達に影響を及ぼしています。これに対処するため、より多くのメーカーと契約してレーザーカットと曲げ加工を行う必要があります。曲げ加工機はサプライヤーごとに異なるため、それぞれのサプライヤーに合わせて仕様を少しずつ変更しなければなりません。Reidは次のように語ります。「複数のサプライヤーから見積もりを取るために図面を微調整するときも、Solid Edgeのシートメタル設計環境は非常にユーザーフレンドリーでした。」柔軟なこのシステムを使って調達を効率化した結果、板金部品を10%削減できました。

Reid氏は続けます。「Solid Edge 3Dモデルは、よりコスト効果の高い部品を世界中から検索するのを容易にしてくれます。世界各地のほとんどのメーカーにとって部品の供給とロジスティクスを取り巻く現在の状況がプレッシャーとなるなか、代替部品の形状、適合性、機能を検証する機能がこれまで以上に重要です。3種類の製品に使用する6つの油圧部品をそれぞれ30~50%低いコストで確保できています。油圧部品は高価なため、部品コストの削減が最終製品の価格を大きく左右します。」

 

さらなるイノベーションで競争優位性を獲得

Reid氏によれば、Solid Edgeがもたらした最大の効果は、より幅広い製品ライン展開が可能になったことです。開発チームとして能力と自信が高まったことで、より野心的なプロジェクトに取り組むことができ、新製品、関連製品、革新的な製品の市場で競争力を発揮しています。これにより業界の変化や成長市場を予測できるので、少量バッチで製造を開始する、季節変動需要に対応する、新製品を新市場に積極的に投入するといった戦略を進めています。毎年2~3種類の新製品を発表する予定です。Reid氏は続けます。「設計時間は限りがありますから、新しいアイデアをいかに早く具現化するかが決定的に重要です。」同社はこの18か月間で2つの特許を申請しました。Reid氏は、開発チームの敏捷性とSolid Edgeの機能に信頼を置いています。Solid Edgeによって、エンジニアリング変更 (ECO) を管理し、製品供給を持続できるからです。

「Solid Edgeは中小企業が大きなことを成し遂げるためのツールです。当社のこの8年の成長はRed Ant製品ラインの開発による部分が大きいですが、Solid Edgeなしでは不可能だったでしょう。」とReid氏は述べています。

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